2006年 06月 27日
てんかん①部分発作
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始めに、ここに記すものは、あくまでも「てんかん」の理解を助けるものです。
てんかんは、症状が多彩であるため、症状をお持ちの方は医師の判断を最優先してください。てんかんでお悩みの方の不安を煽るようなことは、作者の意向に反するものです。
医療系学生でご覧になられている方は、要所のみを記しておりますので、部分発作と全身性発作の違いを理解した上で、さらにそれぞれにおいて、どの様な症候を示すものかを理解して頂きたいと思います。
大雑把にまとめたため、細かい事は省略していますので、解りにくい点や間違いなどがありましたら、コメントでご指摘頂きたいと思います。
定義 : 「神経細部群の過剰な異常興奮が起こった結果生じる病理現象」
てんかんは最もありふれた神経疾患の一つで、80歳までにてんかんを起こす人は全人口の0.3~1%、日本では約100万人以上がてんかんを有します。
そのうち、60~70%は抗てんかん薬の投与で発作をコントロールできます。残りの患者は薬のみでは発作を止めることができず、このような場合を難治性てんかんと呼びます。
基本的には薬剤投与にてコントロールされるべきものですが、多剤併用により発作は抑えられても、副作用により社会生活に支障を来たす場合には、外科的治療を積極的に行う事が望まれています。
てんかんの原因は、小児と成人で分けて考えられます。
小児期で発症するものは、そのほとんどが原因が明らかでない他、出生時のトラブルが原因である場合が多く認められます。
一方で、成人期での発症は、脳の器質的疾患が主な原因となっています。
てんかんの分類は2つの二分方があり、1つは「発作型」による、もう1つは「病因」による分け方です(国際抗てんかん連盟.1981)。
発作型による分け方は「部分発作」と「全般発作」。一方、病因によるわけ方は「症候性」と「特発性」です。
部分発作と症候性、全般性発作と特発性が対応する事が多いと言えます(ただし、部分発作で特発性のものもあればその逆もあるといったように多くの例外もあります)。
これは、症候性とは原因が明確である場合なので、その病変部分がてんかんの焦点となるためです。全般性発作については後に触れます。
この先の説明は、「発作型」に基づいて説明します。部分発作では、説明はほとんど複雑部分発作に関してです。
部分発作 partial seizures
臨床的には脳波所見上で、発作が脳の局所を起始とするもの。
例えば、発作が常に一側の上肢から始まり全身に及んでいくとか、視野の一部が異常になって全身痙攣になっていくというように、発作の出発点(焦点focus/てんかん源)が明確であるものを指す。
*すべての複雑部分発作が側頭葉てんかんであるわけではない。前頭葉に発作焦点がある場合にも、側頭葉に伝播し同様の発作を起こしうる。
側頭葉てんかんについて
**自動症automatism:複雑な動作を示す異常運動。
以前は「精神運動発作psychomotor seizures」と呼ばれていた。
その間の記憶が全く無いまま、「口を動かす」、「舌なめずり」、「手探り」、「目的も無く動き回る」など。
このように、部分発作が全身痙攣に移行するものを「二次性全般化発作」とよぶ。またその多くが強直間代発作であるため、このような場合を「二次性全身性間代発作」という。
(注)単純部分発作でも、全身痙攣へ二次性全般化すれば、意識喪失を引き起こす。
側頭葉てんかん脳波所見
治療:発作焦点が明らかになれば、このう焦点を切除することで治療する事が可能である。
てんかんは、症状が多彩であるため、症状をお持ちの方は医師の判断を最優先してください。てんかんでお悩みの方の不安を煽るようなことは、作者の意向に反するものです。
医療系学生でご覧になられている方は、要所のみを記しておりますので、部分発作と全身性発作の違いを理解した上で、さらにそれぞれにおいて、どの様な症候を示すものかを理解して頂きたいと思います。
大雑把にまとめたため、細かい事は省略していますので、解りにくい点や間違いなどがありましたら、コメントでご指摘頂きたいと思います。
てんかん epilepsy
定義 : 「神経細部群の過剰な異常興奮が起こった結果生じる病理現象」
てんかんは最もありふれた神経疾患の一つで、80歳までにてんかんを起こす人は全人口の0.3~1%、日本では約100万人以上がてんかんを有します。
そのうち、60~70%は抗てんかん薬の投与で発作をコントロールできます。残りの患者は薬のみでは発作を止めることができず、このような場合を難治性てんかんと呼びます。
基本的には薬剤投与にてコントロールされるべきものですが、多剤併用により発作は抑えられても、副作用により社会生活に支障を来たす場合には、外科的治療を積極的に行う事が望まれています。
てんかんの原因は、小児と成人で分けて考えられます。
小児期で発症するものは、そのほとんどが原因が明らかでない他、出生時のトラブルが原因である場合が多く認められます。
一方で、成人期での発症は、脳の器質的疾患が主な原因となっています。
てんかんの分類は2つの二分方があり、1つは「発作型」による、もう1つは「病因」による分け方です(国際抗てんかん連盟.1981)。
発作型による分け方は「部分発作」と「全般発作」。一方、病因によるわけ方は「症候性」と「特発性」です。
部分発作と症候性、全般性発作と特発性が対応する事が多いと言えます(ただし、部分発作で特発性のものもあればその逆もあるといったように多くの例外もあります)。
これは、症候性とは原因が明確である場合なので、その病変部分がてんかんの焦点となるためです。全般性発作については後に触れます。
この先の説明は、「発作型」に基づいて説明します。部分発作では、説明はほとんど複雑部分発作に関してです。
部分発作 partial seizures
臨床的には脳波所見上で、発作が脳の局所を起始とするもの。
例えば、発作が常に一側の上肢から始まり全身に及んでいくとか、視野の一部が異常になって全身痙攣になっていくというように、発作の出発点(焦点focus/てんかん源)が明確であるものを指す。
- 単純部分発作 simple partial seizures:
局所症状のみで始まり、意識は全く失われていない場合。
- 複雑部分発作 complex partial seizures:
てんかん源によっては、容易に意識の喪失を伴う部分発作があり、これらを複雑部分発作としている。
一般にこの型の発作は極めて難治性であり、大多数は側頭葉に発作焦点がある。そのため、以前は「側頭葉てんかん temporal lobe epilepsy」とよばれていた*。
側頭葉てんかんについては下記リンクに詳細を記す。
*すべての複雑部分発作が側頭葉てんかんであるわけではない。前頭葉に発作焦点がある場合にも、側頭葉に伝播し同様の発作を起こしうる。
<参考文献> 山浦 晶、田中隆一、児玉南海雄 編:標準脳神経外科学第10版、
医学書院、308~311、2005.
医学書院、308~311、2005.
側頭葉てんかんについて
- 側頭葉てんかんでは、異常興奮が大脳辺縁系を経て対側の側頭葉へ波及し、意識の喪失を容易に起こす。
- 95%以上の症例では発作中に自動症を伴う**。
- 大部分では局所で生じた異常興奮が大脳全体に波及し、全身痙攣に移行する。
**自動症automatism:複雑な動作を示す異常運動。
以前は「精神運動発作psychomotor seizures」と呼ばれていた。
その間の記憶が全く無いまま、「口を動かす」、「舌なめずり」、「手探り」、「目的も無く動き回る」など。
このように、部分発作が全身痙攣に移行するものを「二次性全般化発作」とよぶ。またその多くが強直間代発作であるため、このような場合を「二次性全身性間代発作」という。
(注)単純部分発作でも、全身痙攣へ二次性全般化すれば、意識喪失を引き起こす。
- 痙攣の表現型
- 強直性痙攣:突然、四肢、頚部、体幹などの筋が伸展し、硬直する。
- 間代性痙攣:四肢が伸展と屈曲を繰り返す。
側頭葉てんかん脳波所見
治療:発作焦点が明らかになれば、このう焦点を切除することで治療する事が可能である。
by heba_nonbo
| 2006-06-27 20:44
| 脳神経外科