2006年 10月 05日
太陽と死②現実と妥協
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東京に戻ってきてからは、母から叔母の様子を聞いていた。
私が帰ってからは、かかりつけの内科、整形外科に通っていた。
母は週に1~2回、食料を置きに行き、話し相手になっていた。以前よりも叔母は顔色もよく、一人で電子レンジまでたどり着けるようになっていた。そのため、食料を冷凍しておくことで、食事には困らず、最近では「焼き茄子」を作れるようになったそうだ。
以前に比べたら、格段に元気になっていた。私が訪ねた時は、歩けないため、食事もできず衰弱していたが、その後食事も毎食するようになったのに加え、近所の内科医院で点滴を受けて栄養補給をしたそうだ。
私は病状が気になっていたので、母に叔母の様子、症状を聞くようにしていた。
すると、最近母が気づいたことは、座っているときに左手が小刻みに震えること、歩くときは一歩一歩の間隔が小さいこと、そして、トイレの前に行くと、電機をつけるため立ち止まり、その後の一歩が踏み出せなくなること、など。電話越しに聞く分には、錐体外路症状*が疑われた。
私が会ったときには、やつれ過ぎてこのような症状は見られなかったが、いくらか元気になるにつれて、症状が顕在化してきた。
パーキンソン病、或いはパーキンソン症候群ではないか。2週間前から、そのようなことが気になってきていた。私と母が一緒に訪ねた時には、便秘に苦しんでいた。パーキンソン病では、自律神経症状が現れることが多いという**。
「神経内科がある病院に連れて行って。病気でなければそれでいいじゃないか。でも、仮に病気だったら対処の使用がある。」
そう私は繰り返してきた。
母もこのまま放っては置けないと、なんとか総合病院に連れて行きたかった。しかし、叔母は、通院している病院があるからいい。と、かたくなに拒否してきたそうだ。
しかし、今後のことを考えると自分ひとりでは何もできない、と悟ったのだろう。叔母は個人病院ではなく、総合病院を受診してみることを決意した。
こうして叔母は、ある総合病院の整形外科を受診することになった。
*錐体外路症状:
一次運動野からだされたインパルスは一連のニューロンの連結を通じて筋を刺激し、随意運動が行われる。これを錐体路系といい、脳卒中や脊髄損傷で半身不随が生じるのは主にこの錐体路が傷害されるため。
一方で、錐体外路系の運動制御は抑制系と促進系とから成り立ている。大脳基底核の神経機構が重要な役割を担っており、この機構がバランス良く作動して初めて正常な運動が可能となる。この促進系と抑制系のバランスが崩れて生じる症状が錐体外路症状。
代表的な疾患をあげると、舞踏病、パーキンソン病。前者では過剰運動性の不随意運動(hyperkinesia)、後者では寡動を主とした運動障害(hypokinesia)が起こる。
**腸管の神経叢(アウエルバッハ神経叢)が萎縮し、蠕動運動が低下するため。
私が帰ってからは、かかりつけの内科、整形外科に通っていた。
母は週に1~2回、食料を置きに行き、話し相手になっていた。以前よりも叔母は顔色もよく、一人で電子レンジまでたどり着けるようになっていた。そのため、食料を冷凍しておくことで、食事には困らず、最近では「焼き茄子」を作れるようになったそうだ。
以前に比べたら、格段に元気になっていた。私が訪ねた時は、歩けないため、食事もできず衰弱していたが、その後食事も毎食するようになったのに加え、近所の内科医院で点滴を受けて栄養補給をしたそうだ。
私は病状が気になっていたので、母に叔母の様子、症状を聞くようにしていた。
すると、最近母が気づいたことは、座っているときに左手が小刻みに震えること、歩くときは一歩一歩の間隔が小さいこと、そして、トイレの前に行くと、電機をつけるため立ち止まり、その後の一歩が踏み出せなくなること、など。電話越しに聞く分には、錐体外路症状*が疑われた。
私が会ったときには、やつれ過ぎてこのような症状は見られなかったが、いくらか元気になるにつれて、症状が顕在化してきた。
パーキンソン病、或いはパーキンソン症候群ではないか。2週間前から、そのようなことが気になってきていた。私と母が一緒に訪ねた時には、便秘に苦しんでいた。パーキンソン病では、自律神経症状が現れることが多いという**。
「神経内科がある病院に連れて行って。病気でなければそれでいいじゃないか。でも、仮に病気だったら対処の使用がある。」
そう私は繰り返してきた。
母もこのまま放っては置けないと、なんとか総合病院に連れて行きたかった。しかし、叔母は、通院している病院があるからいい。と、かたくなに拒否してきたそうだ。
しかし、今後のことを考えると自分ひとりでは何もできない、と悟ったのだろう。叔母は個人病院ではなく、総合病院を受診してみることを決意した。
こうして叔母は、ある総合病院の整形外科を受診することになった。
*錐体外路症状:
一次運動野からだされたインパルスは一連のニューロンの連結を通じて筋を刺激し、随意運動が行われる。これを錐体路系といい、脳卒中や脊髄損傷で半身不随が生じるのは主にこの錐体路が傷害されるため。
一方で、錐体外路系の運動制御は抑制系と促進系とから成り立ている。大脳基底核の神経機構が重要な役割を担っており、この機構がバランス良く作動して初めて正常な運動が可能となる。この促進系と抑制系のバランスが崩れて生じる症状が錐体外路症状。
代表的な疾患をあげると、舞踏病、パーキンソン病。前者では過剰運動性の不随意運動(hyperkinesia)、後者では寡動を主とした運動障害(hypokinesia)が起こる。
**腸管の神経叢(アウエルバッハ神経叢)が萎縮し、蠕動運動が低下するため。
by heba_nonbo
| 2006-10-05 17:04
| 家族の事